夏、おすすめ映画『菊次郎の夏』

菊次郎の夏

 

おっちゃんと一緒に小学生の少年が、「お母さん」に会いにいく。

夏休みのおもいで。

もし北野映画をすすめるとすればコレ。

たけしの映画は孤独や虚無感、それに伴う暴力や死が描かれることが多いとおもうけど、この作品はそのなかでも生きることに向かう。北野映画では、たいてい主人公であるたけしが死ぬことが多い。実生活で、バイク事故を経験したことも影響しているのか、いつもより現実味のある世界、日常的な風景が描かれている。そんな日常的な世界に、たけしという非日常が入り込んで来るとどうなるか…。タクシーを奪ったり、たけしにしかできないコミカルな要素があるのに、作品自体の真剣な雰囲気は失わない、たけしという個性が出ていて、これはもう彼しか撮れない映画。

 

こどもと共演しているのがいい。

はじめ、母さんに会いに行く手伝いをする気なんてほとんどなかったのに。

最後におっちゃんの名前が明かされる。

おっちゃんの名前なんての??

◯◯◯だよ。バカヤロウ!

 

だからはじめ、少年の名前がてっきり菊次郎なんだとおもってたんだけど、ちがって。この話は、菊次郎にとっての一夏のおもいでなんだって、最後に。それでもう一回みたくなるような。久石譲の曲も素晴らしく、作品を決定づけるような曲。

 

夏が好きになるような、映画。