『隠れ砦の三悪人』
スターウォーズのジョージルーカスが影響を受けたといわれる映画。
日本の映画が世界を引っ張っていた時代が、この頃。白黒映画なので、見るのにためらってしまうかもしれないけど、三船敏郎演じる、真壁六郎太が出て来て砦から出るまでは退屈といえばタイクツかもしれない。このころの時間感覚はだいぶゆっくりだとおもう。
三船がチョー渋い。日本で撮られた最高の映画だとおもう。はじめてみたのはBS放送だったような気がする。はじめのシーンで落ち武者狩りのようなところがあるんだけど、そこで役者さんが走ってる馬に踏まれてるって聞いたんだけど、いまは撮れないんじゃないの? ってびっくりするような話。中盤の戦闘場面では三船が両手で刀を構えながら股の力だけで乗馬しながら進んでいくんだけど、内転筋の力がよっぽどあるのか、落馬の危険性もあるなかで、どうやって撮ったのっていう、そっちが気になるほど。
黒澤&三船の『用心棒』『椿三十郎』も素晴らしいとういか圧巻なんだけれども、こっちは三船演じる一人の侍により焦点を当てて描かれていて、血なまぐさい印象が否めない。侍好き、あるいは三船ファンにたまらないとはおもう。
エンターテイメント性でいえば『隠れ砦の三悪人』。笑いがあって、閃きがあって、息を呑んで、頼もしさに心踊らさせ、悲しみもあるのに、意外性もある。単純な英雄譚になってないところがいい。
あらすじは
戦国時代、いくさに敗れ追われる身となった姫・雪姫を同盟国の領地まで逃すというというのが一つなんだけども、これは三船と雪姫だけの秘密。敵を騙すにはまず味方から、というお手本のような設定なんだけども、あとの二人はこのことを知らずに、薪の中に隠した金を運ぶために、お金のために行動を共にしているんだけども……。この二人は太平と又七というコンビで、劇中を通して滑稽という言葉を体現している。スターウォーズのロボットコンビの元となったといわれている。
脚本が優れていて、こういった優れた脚本は何作も作って、そのなかで偶然生まれるんだともう。狙って、一個作って当たりましたみたなものではなくて。
姫役の上原美佐さんは、この映画のために生まれて来たのかもしれない。一躍人気女優になったが早々と女優業を引退している。